「香港デモはなぜ終わらないのか?」を優しく解説 – わかぶろぐ

「香港デモはなぜ終わらないのか?」を優しく解説

やさしく解説シリーズ

香港デモはなぜ終わらない?

こんにちは。

さて、今回はかなりピンポイントに絞っての解説になります。

「香港デモはなぜ終わらないのか?」

という一点について進めていこうと思います。

デモの原因

解説する上で非常に重要なことは「デモの原因は何か?」ということ。

まずはそこから入らないと進んでいきません。

逃亡犯条例改正への反対運動として

デモの原因は逃亡犯条例を改正する事への反対運動でした。

その運動が広がり、多くの人の団結によって想いが加熱し暴動と呼べるほどの大規模デモへと発展しました。

逃亡犯条例を改正するとは?

現状の逃亡犯条例では手続きが難しく容易に香港外に引き渡すことはできませんでした。

それを非常に簡単にしていますが、以下のような内容にしようとするものです。

逃亡犯条例改正案簡単にいうと「容疑者の引き渡しの手続きの簡略化」というものです。この改正によって中国・マカオ・台湾に容易に香港内での容疑者を引き渡す事ができるようになります。

これによって、これまで中国大陸側からの要請があっても引き渡し難かった容疑者が容易に引き渡せるものに変わるのです。

逃亡犯条例改正案に香港市民が反対する理由

以上のように聞いて「ヤバイ!」と思ったところはありますか?

香港デモの「キー」になるのはこの「ヤバイ!」の部分なんです。

その前に以下のことを覚えておいてください!

中国は「一国二制度」

「日本の主義はなんですか?」と聞かれて何と答えますか?

日本の主義は「民主主義」になります。

憲法で語られる「国民主権」というものです。

「政治は国民の意思によるもの」「主権は国民にある」という考え方です。

では、「中国の主義は何ですか?」と聞かれた場合はどう答えますか?

これについては、よくテレビなどで耳にする中国共産党から「共産主義」もしくは「社会主義」と答えるのではないかと思います。

しかし、中国全土では多くはその通りで「社会主義」何ですが、今回取り上げている香港といくつかの地域は「民主主義」となっています。

今回のデモにはこの主義の違いが大きく関係しています。

中国の法律

次に中国の法律を考えてみましょう。

日本の法律は「日本国憲法」を前段においてそれをもとに国会において法律を制定しています。

政治家がその憲法が都合が悪いと思っても、国会投票をへて最終的には国民投票によってしか改正できません。

しかし、中国の法律は制定までの形はある程度整えていますが、改正等には大きな穴が存在します。

国家よりも「中国共産党」のほうが上

日本では国民が政治を決定しそれを中心に国家を形成します。

日本では「国家>国民>議会」という形です。

中国も国家を形成するまでは同じような経緯を踏みますが・・・。

中国の場合は結果として以下のような形になります。

「中国共産党>国家>国民>議会」

どういう事かというと、日本と同様に何らかの規則が議決したとします。

日本ならば「議員は国民が信を置いて選抜した」という前提があり議決は国民=議会の構図が成り立ち国家の決定となります。

中国の場合はその最終決定のはずの部分よりさらに上に「中国共産党の検閲」が存在します。

これによって、どんな議決であろうとも「中国共産党に不利益な議決は否決」という裁定が下されます。

十数億人いると云われる中国国家よりも「中国共産党」という存在の方が圧倒的に強いのです。

中国に容易に容疑者が引き渡されるようになると民主主義が崩れる

いきなり質問ですが・・・

「中国共産党の悪口を言った人が居たとします。

それを中国共産党が知り香港の政治家にその人を容疑者として取り扱うように便宜を図るとします。

その政治家が警察と共謀して逮捕し、今回の逃亡犯条例改正案で香港から中国に引き渡し中国で裁判になったとしたら判決は誰が出すでしょうか?」

さて、どうでしょうか?

裁判所?警察?

答えは「中国共産党」です。

どんなに法律が絡もうと、その法律の最終判断は中国共産党の意図する範囲にしかなりません。

現在「民主主義」として全ての国民(国民の代表)が決定している事が、改正案では中国共産党の独裁的な裁定によって為されるようになるんです。

これが民主主義国家と言えるでしょうか?

中国共産党の都合が良い間だけの民主主義に変わってしまうかもしないんです。

その事について香港市民は命がけでデモを起こしたのです。

なぜ撤回したのにデモは終わらない?

さて、ここからが本編となります。

ここまで説明したように香港市民は「民主主義の危機のため」にデモを起こしていました。

では、逃亡犯条例改正案の撤回を香港政府が発表したのになぜデモはさらに激化しているのでしょうか?

逃亡犯条例改正案はデモの口実にすぎない

実は原因のはずのこの逃亡犯条例改正案はただの「デモを起こすための口実」なだけだったんです!

ずっと「一刻も早くデモを起こさなければ・・・。」と考えていた市民にとって、今回の条例改正案は千載一遇のチャンスだったという事になります。

たまたま市民がデモを始めたわけじゃなくて、市民はずっとこの時を待ってたんです。

民主主義の危機の根本はほかにある

突然ですが、香港の正式名称をご存知ですか?

香港の正式名称は「中華人民共和国香港特別行政区」といいます。

先ほど説明した一国二制度の特別行政区が民主主義という事になります。

期間限定の民主主義

香港は以上のように「特別」と付けられている通り、特別に民主主義を認められた地区です。

ようは国ではなく地区なんです。

・・という事は、どこかで中国に統治される時期があったはずですよね!

そうでないと「特別に民主主義」とはならず「社会主義」だったはずですから。

その通りもともと永く(約150年)香港はイギリスの統治下でした。

それがもろもろの経緯の後に中国に変換されました。

その返還後に中国が「返還後50年は政治体制を変更しない」と確約した経緯があります。

そこから現在までで香港市民が選んだのが「民主主義」でした。

変換されたのは1997年、返還後50年という事は2047年までは民主主義で、その後は中国共産党の統治下に入るという事になります。

香港が有る限り中国共産党に支配されたくない!

香港は中国共産党の統治下にはなりたくありません。

情報は規制され・・・動向を見張られ・・・。

それまで個人を尊重されてきた個人主権社会から正反対の政府管理社会へと移行する事はどんなに恐ろしい事でしょうか?

香港市民はその時が来ることを未来永劫絶対に阻止したいのです。

デモの継続は2047年のための革命運動

ニュースを見てて感じていると思いますが、デモの中心も多くの市民も若年層が中心になっています。

この事から考えても、デモの継続は「将来の事」だという事がわかると思います。

当初のデモの目的は「改正案の反対」「中国共産党介入の阻止」でしたが・・・。

現在のデモの目的は「未来永劫の香港の民主化」という中国に対しての独立革命運動へと移行しています。

将来の自分のため、我が子のため、そしてこれから生まれてくる子供たちのため・・・。

自分たちが最良と信じる国家のあり方を守るために「中国の一部地域」から「独立国家としての民主化された香港」を目指して闘っているんです。

これらの事から、香港のデモは終わらないんです!

まとめ

自分たちが「30年後に共産党になる」と言われたらどう思うでしょうか?

その事が現実に起きているのが今のデモの姿です。

生活の中で国家の主義が変わることほど大きな支障はないと私は思います。

ならば、現在の香港のデモは当然の主張ですし、中国に失敗は長期にわたり香港に理想を考えさせた事・・・。

政府や企業には社会主義は至上の体制であります。

対して民主主義は国民にとって至上の体制です。

民主主義を目指す「民主主義で育った市民」は止まる事はないでしょう。

中国は多くの犠牲者を出した過去の失敗(天安門弾圧事件)をもう一度犯すのか?・・それとも独立を認めるのか?

今はそういう段階に入っているだと私は思います。

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